現在は観賞用である日本刀ですが、元々は武器として作られたものです。 世界の様々な刀剣の中には、両刃のものもありました。ですが、日本刀は刃が片方にしか付いておりません。利便性を考慮した結果このような形状になっているようです。刃の無い方を「棟」と呼び、刃のない棟の部分に手を置くことができるので、戦いにおいて扱いやすいのです。 この棟は断面の形により、三つ棟、角棟、丸棟、庵棟と区別されています。 これらの種類を詳しく解説します。 三つ棟は断面が台形になっており、三面あることが名前の由来です。「真の棟」という別名があり、平安時代以降に主流になりました。五箇伝の山城伝、相州伝の刀に多い造りです。 角棟は断面が平たく仕立てられており、別名「平棟」とも呼ばれています。もっとも古い造りで、奈良時代以前に作られた上古刀に多く見られます。 丸棟は、断面が半円状で「草の棟」とも呼ばれます。北陸・九州で多く見られます。 庵棟は大太刀に多く見られた造りで、棟の頂点となる箇所が鋭角です。別名「行の棟」とも呼ばれていました。 棟の方から見た刀身の厚さを「重ね」というのですが、こちらは刀全体の美しさと使用感を左右する重要な点でもあります。