天国は伝説の刀工で、その後に登場する刀の基礎となる形を作り上げたことから「日本刀の祖」と呼ばれています。 1423年に刊行された観智院本銘盡によれば「焼刃の境が見えず太刀反りて小反刃に似たり」と表記されており、焼き入れの技術が発達していなかった時代で、反りも浅かったことを表わしています。 このように天国は当初は酷評されたものの修行を積み重ね、後に平家一門の重宝である小鳥丸の作者として名を馳せます。 天国が作った刀は見た目や美しさを求める方向性とは一線を画しつつ、邪を避けることができると瞬く間に評判になり、江戸時代になる頃には伊達家や水戸徳川家をはじめとする有名どころでも家宝として秘蔵されるに至りました。