和泉守兼定は江戸時代の刀匠・11代関兼定の手になる打刀である。歳三の遺品の「和泉守兼定」は物打に刃こぼれが何か所も見受けられたが、昭和の初めに研ぎに出された。そのせいで物打辺りが薄くなっている。現在は、東京都日野市にある土方歳三資料館で保管されており、5月11日の歳三の命日には一般展示される。鍛えはよく釣んだ小板目で全体に柾目がかかっている。刃文は物打に大きな乱れがあり、小沸ついた三本杉を焼く。三本杉とは、刀身のうち三か所で乱れる華麗な互の目をいう。会津漆の石目塗の鞘には朱のなかに鳳凰と牡丹唐草の蒔絵が施されている。白鮫着せ黒糸巻の柄は、鍔のすぐ下から巻き糸の傷みが激しく、歴戦の勇士であった土方歳三の佩刀らしい風格を感じさせる。