「相槌を打つ」は、刀鍛冶の仕事ぶりを表すことわざであるようです。二人一組で刀を打つ刀工がお互いの呼吸を合わせ、一方の合図に合わせて刀を打つ姿にたとえられたことわざであります。ことわざの意味するところは、相手が話す調子に合わせてこちらも呼吸を合わせるといったような意味合いがあるようです。近年では聞き上手な人が世渡り上手であるなどとも言われておりますが、相槌を打つように相手への同調を示す表現というのは、社会的なコミュニティの中では大変重要なコミュニケーション術であるとも言えます。 「相槌を打つ」ということわざを英語で置き換えてみますと、「相槌」という言葉にぴったりくる表現はなかなか見つからないようなのですが「レスポンス」というところの「反応」が「会話に反応する」という意味合いで使われることもあるようです。「相槌を打つ」を英語に置き換えますと「刀を打つ」という意味ではなく、「会話を聞いて反応する」というようなストレートな表現になってきますので、このような表現方法の違いは、英語を母国語とするアメリカやイギリスには、日本刀を作る文化がなかったことを表すと同時に、日本刀じたいが日本独自の道具であったことを示しているようにもみえます。